スタンド・バイ・ミー

 

 あの日、あの時、あの場所で聴いたもの。
 聴覚のみでの記憶。
 それ故に何にも勝る強い記憶。
 今、あなたが求めてる音は何ですか?
 我々『心響屋』が、貴方の耳にお届けします。

「あの頃の青春を思い出させてほしい」
 依頼人は少し垢ぬけたサラリーマン。年は30歳前後。
 お受けしますと答えるのは妹・一之瀬はるか。
 起きろ!とばかりに姉を踏む。
 さぁ起床!着替えて依頼内容を確認。
 ヘッドホン装着!マイクは持った!姉・笹宮あき、出発!


Q
 青春が転がってるところってどこよ!?

 ふっ、もうグラウンドで頭にボールぶつけたり、深夜の公園で不審者扱いされたり、と同じ轍は踏まないぜ!
 さぁ、いざ学校へ。
「あ、笹宮。出席日数が・・・」
 よし!ここに青春はない!次!

Q 青春が転がってるところってどこよ!?


Q
 青春が転がってるところってどこよ!?

Q 青春が転がってるところってどこよ!?
Q
 青春が転がってるところってどこよ!?
Q
 青春が転がってるところってどこよ!?
Q
 青春が転がってるところってどこよ!?
ずっと続く。

 どこですかはるかさーん!!!!!

 行きついたレンタルビデオ屋で、名作コーナーでガックリ肩を落としても、仕事が進む訳じゃない・・・
 ふと手に取った一本の映画『STAND BY ME』。
 
STAND BY ME
 青春映画の金字塔。心に傷を負う四人の少年が友情を確かめ合う超名作。

 これだと掴んで飛び出して、姉妹で観ます『STAND BY ME』。
 二人で聴きます主題歌名曲『STAND BY ME』。
「あきさん、ちょっと出張行ってきて」
 
 行った先は一軒の高校。
「これは昔の生徒達が、文化祭で披露した『STAND  BY  ME』です」
 渡したのは一本のテープ。
 二人で聴きます高校生四人の『STAND  BY  ME』。
 "When the night ,,と聞き覚えのある声が下手に歌いだす。
 歌った四人の名前を見て、二人で驚く。
 はい、もう決定です。

 依頼人に渡したテープ。
 まさに友人達と過ごしたあの頃の青春。
「思い出すなぁ」
 と依頼人。
 歌っていたのは貴方でしょう?
 問われて頷く依頼人。照れて嬉しげ依頼人。
「ありがとう。まさにこれですよ」
 テープを受け取り、喜び出ていく依頼人。
 お疲れ様とお互いに。わたしは今日は休みます。わたしも今日は休みます。
 今日も今日とてテープは回る。